水無月廿二日・二〇一〇 #602

夏至の夜は一番濃い夜素が採れるのだと云う。「夜素?」「さる止ん事無き筋がご所望でな」それで最上のものを、か。「近頃錬金でもあるまいに、何に使うのやら」「まあ詮索はせぬことだ」それもそうだ。深い森の奥、昼とて陽の射さぬ影に据えられた硝子細工に、一晩の闇が凝るのだ。

夏至の夜に投下した季節もの。灯せば闇を撒くランプにでも使うのであろう。とすれば所望の筋は夜族か。