卯月八日・二〇一〇 #525

厨子のように、薄い胸板を閉じる。その奥には燐光を帯びた、掌に載る程の珠。かの貴種の、それが未だ目醒めぬ原初の姿だった。常の傀儡と違うのは、一切無垢の──素体だけの伽藍であると云うこと。その姿を自ずと定める程度は訳もなかろう。見る間に肉を纏い、横たわる少年となる。

仮初めの身を容取るこそは己を律する第一歩。我々の感覚で云うと胎教みたいなものかな。