卯月四日・二〇一〇 #520

人形遣いは生業の一つでしかない、寧ろ本来は石遣いである。が故に、ひと目でこれはどう見ても手に余るのだと知れた。来歴は師より厭と云う程聞かされている。だから、返しに行こうと決めてこの街に来た。風の慟哭に声を合せるかのように震える緋色の石は、竜の血より生まれたのだ。

ぼちぼち続いてます。竜熱の時の錬金術師の末裔。主の喪われたとも知らず、来歴と噂を頼りに辿り着いたのは、樹海を背に慎ましやかに栄える小さな市城。