長月廿五日・二〇〇九 #087

鼻腔にキナ臭いものが走った。ヤバい、決定的な手遅れの匂い。訳もなく走る。莫迦な生き方、とは自分でも思う。今更こんな物何になる。なんで俺は走ってる。修羅場離れて何年だ?ちったァ鈍ってろ、俺の勘。最悪だ、鈍ったのは躯だけかよ。所在なげに立ち尽くすのは、小さな、背中。

13.「暗転」