弥生廿日・二〇一〇 #506

熾熱焼夷弾。重元素電磁砲。限定核。戦略級融合弾。あらゆる悪意と情熱の産物が無力だった。幾艘もの空母を従え、洋上の巨艦より人類最強の巨砲が廃都を睨む。その弾頭はグラムにも満たぬが、決して世に有り得ざるもの。探究心を敵意に塗り固めて鍛ち上げた、反物質の「鏃」だった。

非実在青少年シリーズ、と呼んでいいのかコレ。もうそろそろ原型留めてないぞ。と云う訳でT領域への物理干渉は凡そ存在し得る兵器を尽くして試みられたのだが、手が届こう筈とてもなく。やむを得ず、それは用意される。急遽炉心を増設して出力強化を図った空母数隻を電源とし、世界最大と謳われた巨大空母の飛行甲板を占拠する、それは人類の手が届き得た最大の力。完全に解放され、対消滅反応が完全に展開すれば半径数百kmを文字通り無に帰するだけの、それが人類が現時点で手にし得た反物質の”質量”だった。それを、撃ち込もうと云うのだ。逸らせば地図を書き換える必要もあるだろう。よしんば当たったとしても、それがどれほどの効果を持ち得るか。疑問の声も、少なくはない。だが、その「矢」はつがえられた。
と云う訳でこんなもんが25000post目だったりする。