弥生七日・二〇一〇 #494

風に紛れて聴こえたその笛の音は、酷く悲しく聴こえた。杜の女王の竜笛と知ったのは随分とあとの話で、しかしそれはひとに聴こえるものではないと云う。だが、その音は確かに私を掻き立てるのだ。胸を熱く灼く郷愁にも似た旋律。今日も夕暮れの空に、高く低く、遠く近く。風が哭く。

なんとなく続いている。今回の主人公は誰の系譜につなげようか。