如月七日・二〇一〇 #472

音のしない夜。窓を薄く開けば、そこは淡く、曖昧な白。頬を撫でる夜気にそっと震えてきみの名を呟けば、そのかたちにこぼれた雲が闇に溶けた。どうしていますか、そちらでも、降っていますか。窓を閉める。一層こみ上げる寒さの中、包んだ両腕はすり抜けて、肩を抱くのみだけれど。

今シーズン、最初で最後かも知れない雪が降った。あっという間に白一色に染めて、明けた昼にはもう何事もなかったかのように消えてしまったけれど。