ついっ短歌・拾遺

ちょこちょこ、ちまちまと詠んでるので溜まってきた。ちょっとまとめとこう。

行く先に降る雨せめて引き受けておもうかんばせ祈るその無事
折おりの一人称に映しだすメンタリティの山あり谷あり
いちめんの赤に忘れた絹ごしの心のなかの海を見てゐる
妹が身を苛む痛み君が背の担う痛みと能うるならば
呟きの蝶舞う如く風となれ大気揺るがし君へと届け
静けさの夜に思うは詮無くも心の答案(こたえ)に君つける朱
未来行き白紙の切符握りしめ行き先判らず途中下車する
羅列する数字をなぞる指の先想いを馳せる君の住む街
あと少しせめてひととき狂わせよ諳んじる十一桁の先
涙さえ洗い払えよ天来の階洗う穹の瀑布に
ボリウムを絞るが如し穹のいろ薄れる彩度沈める明度
記憶ごと焼けやこの文堆く弔う煙我をか彼か
窓越しの雨音に聴くけぶる夜玉の箒も雲は払えず

まあ短歌である以上「そう云うの」が多いのは否定しない。「羅列」するのは時刻表、「十一桁」は無論電話番号。「いちめんの〜」はある麻婆豆腐の悲哀を、「涙さえ〜」は@takao_rival氏のtwnovelへの感想として詠んだもの。「ボリウムを〜」はこの日の夕空、「記憶ごと〜」はTL上の何かに触発された記憶が。「窓越しの〜」、これは丁度流星群の夜なのに雨だったから(尤も玉の箒だと酒を意味するのだが)。

月は変わって シモ月なれば 遠慮は要らぬと だだ下り
想いを 重いに させぬようにと 置いては悩む電話口
絶対なんぞ ある訳ないと 云いつ見蕩れる そのスキマ
まだ見ぬ寝顔に 思い悶々 丑三つ時の 時間線

あと、都々逸など。このギャップが魅力だと云い張れる面の皮は欲しいところだが。