ついっ短歌・拾遺 その4

またまた溜まって参りました。

寝覚めても痺れぬ腕に息を吐く 形代もなしせめて夢では
星明り照らせ闇断つ蜘蛛糸震え伝えよ妹が身動ぎ
息吹さへ黒く凍えて拒む夜燈せよ焰君のかたちに
凍てた夜に思い悩みつ燻れどただ一本の電話で融ける
三分と満たぬひととき埋め尽くす只管告げる「ありがとう」だけ
ちょっと声聴きたかったななんて夜の積み重ねがいつか背を押す
動き出す景色に開く掌中の切符たしかめ走れよ夜行
宥めれど歩み留めざるクロノスの双剣のよう二人追う影
今はただ言葉一つを包むきり距離の向こうの寝顔を想い
みこ睡る師走の夜半に風を聴く遠きまつりを瞼に想い
きみの眠る夜の向かいのすみっこで。あてどもなしに叩いてる、キィ。
何ゆえに未だ「愛す」と口にせぬ 何を畏れて口をぞ噤む
ただ思う震える咽喉の真白きを焦がれしひと言紡げるときを

まあ、短歌なんだから仕方ないよね。我ながら振り返ると相当アレな気がしなくもないけれども。

あなたがいない あな違いない 繰り返しても かわらない
恋から一歩踏み出したいが 歩めば響く こしいたい

都々逸はあんまりやってないみたい。