葉月八日・二◯一◯ #655

壁のカレンダーに○が増えている。出掛けてるうちに帰ってたのだな、と他に何の書き置きもない辺りがきみらしくはある。あともう少し、とりあえずは買い物に行こう。待つのは、いつだって慣れている。カウントダウン、4、3、2、1……0。今度はしばらく、一緒に居られるかな。

他につけるタグがあるだろう。と云う訳でこれで43210post目と相成りました。

葉月八日・二◯一◯ #654

”「綺麗、ですよ」咲き誇り見蕩れるうちに闇に紛れる、「貴女みたいに」。どこか不満そうな上目遣いに、慌てて言葉を探す。「空の花火は消えるけど、消えない光なら多分見つけました」” …… #twnovel タグを付けようか迷うが、あ、もうこの時点で付いてるんだった。

寧ろ「欠乏中」タグの方が相応しいんじゃないかと云う気がしなくも無いのだが、ううむ。

葉月七日・二○一○ #653

「気が向いたら開けてみれば」と女は箱を置いていった。何が入っているのやら、開けてみれば、藁と黒い……火薬か。僅かに虫の声さえ聞こえ出した夜、火を点ける。虹色の線香花火と云うには豪勢な光に浮かぶ思い出には、何故か居た筈のない貴女が居た。「夏の魔術、か」 #fstn #twnovel

連動企画その3。話としては一番気に入ってると云うか、いつも通りと云うか……。

葉月七日・二○一○ #652

「左岸ー! 用意はー!」「おっけー! とっととかかってこーい!」「っしゃあ! 今年こそはッ!」阿呆どもが河を挟んで対峙する。足許にずら、と並んだ竹ひご。号令一下、両岸を駆ける灯。一拍置いて。劈く火箭。結局今年も勝敗は有耶無耶のままだろう。さ、麦酒だ。 #fstn #twnovel

鴨川デルタ辺りで見られそうな光景を思いつつ、連動企画投下分、その2。

葉月七日・二◯一◯ #651

ほろほろと。金色の花。別に遊んでる訳じゃない。簡易燃焼型大気分析キット、誰がこんな姿にしたんだか。こんなんじゃ里心がつくだけだろうに。いやになるほど、故郷のあの夏の日を思い出す。……火星なんぞにまで来て、なんで線香花火やってるんだろうな、俺。 #fstn #twnovel

TOKON10連動企画対応の一作。お題「花火」に寄せて、その1。

葉月六日・二◯一◯ #650

飛ぶ女に恋した男は、自分は並び飛べないと知る。だから男は煉瓦を積み始めた。箒を立てかける壁と、大釜を掛ける竃、雨を凌ぐ屋根。彼女がどんな空から帰ってきても、一杯のお茶と静かな時間を。その為に今日も煉瓦を積み続ける。小さな家を、貴女が何とも対峙しなくていい場所を。

TLに投下した「飛ぶ女と待つ男」を一つの話に纏めてみた。

葉月五日・二◯一◯ #649

「全ての核兵器を廃絶する」その為に国連が保有国に課した決議は意外なものだった。「軌道上の指定の座標に向け全弾を発射せよ」但し起爆はしないように。その日、世界の彼方此方で。天のただ一点を目指し、火箭は狼煙のような尾を引いて虚空に消える。その真意は、未だ公表されぬ。

先日の「パンドラ」の経緯に繋がる話か。実際この手がベストとは云わないまでもベターなのと違うかな、とは思うのだ。